映画鑑賞記
「1978年、冬」鑑賞記
「1978年、冬」を渋谷ユーロスペースで鑑賞した。
東京ではここでしかやっていない。
ホールは二つあるが、
入ったのは座席が149席の小さな部屋だった。
観客数は約40人で結構空いていた。
シーンは、「こんなのあり?」、
というような古い列車が走るところから始まる。
なにしろ暖房はだるまストーブで、
おまけに扉が無いため外の冷気や煙が客席に直接入って来るのだ。
終点の駅は中国北部の田舎、西幹道(架空の町らしい)。
そこにはセメント工場の煙突と高く立ち上る煙、
広大な荒地、寒そうな雪景色...。
1987年というと文化大革命が終わり、
「改革開放」を打ち出した年。
急成長を遂げる中国の原点であり、出発点となった年である。
人民の心の中は希望と不安が入り混じっていただろう。
冒頭のシーンはそれを象徴しているかのようだ。
セメント工場で働く怠け者の18歳の兄、
スーピンと絵を描くのが好きで寡黙な11歳の弟、ファントウ。
兄弟の住む家の向かいに、
北京から踊りの得意な少女、シュエンが越して来た。
二人はシュエンにそろってあこがれを抱く...。
マイナーな映画ではあったけど、
中国らしいというか、ウエット感が殆ど無い。
それと、笑いが全く無いのだ。
喜怒哀楽の怒哀楽はあるのだが、笑いのシーンが無い。
「30年前の中国人て、こんなに笑わなかったの?」という印象だった。
北京オリンピックの年でもありタイムリーな映画だ。
興味のある方は鑑賞してみたら。
期待はずれにはならないと思うよ。