映画鑑賞記
「剱岳」鑑賞記
6月20日(土)に南町田にある、
109シネマズグランベリー・モールで、
20日に封切りされたばかりの映画「劔岳 点の記」を鑑賞してきた。
「劔岳 点の記」は、新田次郎の山岳小説の頂点といわれる名作である。
日露戦争直後、北アルプス立山連峰の劒岳山頂に、
三角点(三角測量のための柱石)埋設の命を受けた、
測量官・柴崎芳太郎たちの困難を極めた記録を描いたものだ。
この鑑賞記シリーズで数々の映画を紹介してきたが、
今回の映画はまた格別だ。
とにかく野村先生のような山好きの人にとってはたまらない作品だろう。
自分も山間部で育った人間なので、
山にはそれなりに慣れ親しんできたが、
あんな山が近くにあったら幸せだろうなと思う。
長野県のアルプスもすばらしいが、
なんとなく観光地というか登山やスキーのための山というイメージがある。
一方、劔岳は別名「死の山」とも言われているように、
人を寄せ付けないというか、
観光やスキーなどという安易な気持ちで登ってはいけない山なのだろう。
実際、立山は立山修験と呼ばれる山岳信仰の対象であり、
雄山の山頂には天手力雄神(アメノタジカラオ)が祀られている。
アメノタジカラとは「手の力の強い男神」の意であり、
腕力・筋力の象徴のことだ。
本地は不動明王であり、真言宗の本尊になっているが、
本来は生死即涅槃を表す諸天善神のことで、
法華経の行者を守はたらきを持つ。
ちょっと、仏法的な話になってしまったが、
この映画は一度見ただけで終わってしまうのはもったいない。
自分も、もう一度見たいと思っている。
富山市では、この映画のチケット半券を3枚、
(3回鑑賞するという意味)はがきに貼って応募すると、
立山の宿泊券がもらえるというキャンペーンをやっている。
さすがに3回見ようとは思わないけどね。
100%当たるというなら話は別だけど。
この鑑賞記を書くようになって、
漫然とではなく、あとで何書こうかと、
あれこれ考えて見るようになった。
今回は、バックに流れる音楽が気になった。
とにかく各シーンと良くマッチしているのだ。
木村監督が自ら選定したという音楽は、
クラシックの名曲。
以下のものが使われていた。
ちなみに映画では、仙台フィルハーモニー管弦楽団が演奏している。
●J.S.バッハ(編曲/池辺晋一郎):幻想曲とフーガ ト短調 BWV542 より「幻想曲」
●J.S.バッハ:管弦楽組曲第3番 ニ長調 BWV1068 より“G線上のアリア”
●ヴィヴァルディ:四季「冬」作品8 RV297
●ヴィヴァルディ:四季「春」作品8 RV269 より 第2楽章
●ヴィヴァルディ:四季「秋」作品8 RV293 より 第2楽章
●ヘンデル(編曲/池辺晋一郎):ハープシコード組曲第2番 HWV437 より 第4曲サラバンド
●マルチェッロ:オーボエ協奏曲 ニ短調 より 第2楽章
●アルビノーニ:アダージョ ト短調
サラバンドはギターでもよく演奏されるようだ。
野村先生によると、今年の教室の発表会でも演奏されるとのこと。
あと、すごいと思ったのは、雪崩に巻き込まれるシーン。
CGではないとのことだけど、あんな撮影よくできたなと思ってしまう。
測量官・柴崎芳太郎役の浅野忠信、
案内人役の香川照之の体を張った演技にはしびれた。
梅雨のうっとうしさを晴らすには、最高の映画だ。
みなさんも是非、劇場に足を運んでみては。
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