映画鑑賞記
                           
                             

                                   
                               



             
「ヴィヨンの妻桜桃とタンポポ」鑑賞記  





 1012日の体育の日に映画「ヴィヨンの妻 桜桃とタンポポ」を鑑賞した。

自分は全く知らなかったが、

監督の根岸吉太郎氏がモントリオール映画祭で、

最優秀監督賞を受けた作品だ。


 原作は、太宰治が自殺直前の昭和22年に発表した小説「ヴィヨンの妻」。

ヴィヨンというのはフランス人の有名詩人の名前らしいが、

放浪、無頼の人生だったと、ネットで調べたら書いてあった。

とにかく原作を読んだわけでもなく、まったく予備知識がなかったので、

映画を見てから調べている次第。

もっとも、何も知らないで見た方が純粋に楽しめるかもしれない。

大体において映画やテレビ化されると、

原作を書き直しているケースが殆どだろうから、

あらかじめ知っていると、

ストーリーの違いが気になって集中できないかも。


 太宰治の小説といえば、「走れメロス」、「斜陽」、「人間失格」など多数あるが、

「ヴィヨンの妻」は今回初めて。

今年は太宰治生誕100周年ということで、

その記念の映画だそうだ。

太宰治は、4回の自殺未遂、

40歳の愛人との入水自殺、「人間失格」などの作品から、

ノイローゼかうつ病のような印象が強い。

今回の作品もかなり自虐的なセリフが多い。

しかし自由奔放面もあったようで、

初期の作品はユーモアに富んだものも多かった。


 「ヴィヨンの妻」は、まさにそんな太宰自身を描いた作品だろう。

主役の大竹は、酒飲みで多額の借金をし、浮気を繰り返す小説家(浅野忠信)。

夫が飲み屋で踏み倒した酒代を肩代わりするため、

妻の佐知(松たか子)は献身的に働き、支える。

しかし、妻があまりにも美しすぎて、

まわりの男たちが放っておかないのだ。

ある時、大竹は妻が浮気をしたと疑ってしまう。

思い余って愛人と駆け落ちし、心中を図るも失敗。

それでも妻は憔悴しきって帰ってきた夫を、

「生きてさえいればいいのよ」となぐさめる。


 シーンの中で、桜桃(サクランボ)とたんぽぽが効果的に使われている。

桜桃が大竹で、たんぽぽが佐知か。

なかなかあんな女性はいないだろうね。

いるにはいるが、暴力的なのが増えているように思う。






                            
メニューへ




                             topへ