映画鑑賞記
「太平洋の奇跡
~フォックスと呼ばれた男~」鑑賞記
この映画はサイパンで、太平洋戦争の敗戦が決まったにも関わらず、
そのことを知らない大場栄大尉(竹之内豊)が、
兵士47人を率いて3ヶ月間戦い続けた史実を描いたものだ。
アメリカ側には47000人も兵士がいたのに、
大場大尉に翻弄され続けた。そのことから大場大尉は米軍から
フォックスと呼ばれ、尊敬さえされていたのだ。
原作は、ドン・ジョーンズの長編実録小説、
『タッポーチョ「敵ながら天晴」大場隊の勇戦512日』。
この史実は、小説が出版(1982年)されるまでは、
日本では全く知らされていなかった。
ドン・ジョーンズは本来なら英雄視されるべき人物が、
埋もれてしまっていることに疑問を抱き、
小説化したという。
さらに映画化も考えていたが種々の理由で遅れ、
30年経ってようやく実現したのだ。
11日は横浜も本格的な雪が降っていたが、映画館は盛況だった。
内容も素晴らしく、感動的だった。
アメリカ人から見れば不思議なのだろうが、
日本には兵士を英雄扱いする風潮はないのではないか。
天皇のために喜んで死ぬ、などと思う人は余程の狂人だ。
みんな無念の中に死んでいったのだと思う。
1人殺せば人殺しで、
1万人殺せばヒーローなどというが、ナンセンスだと思う。
大場は、生き残った200人の日本人を救うため自ら捕虜になったとき、
米軍から尊敬の言葉をかけられても、
「自分は何一つ誉められるようなことはしていません」と否定していた。
そこには、自分の手で多数の日本人の命を奪ったという自責があったからだ。