映画鑑賞記
                           
                             

                                   
                               



                          ツナグ鑑賞記



 映画「ツナグ」を観賞した。

ツナグとは、

人生一度だけ死者との再会を実現してくれる人のことだ。

通常、イタコのような霊媒者は霊を自分の体を介して呼び寄せ、

この世の人達と交信させるが、

ツナグはそうではなく、

生前の姿で呼び寄せることができる。

ちなみに本作では、

呼び寄せた死者を霊とは言っていない。

ツナグは、「自分でもよくわからない。

もしかしたら実体は無く、会いたいと願う気持ちを

目に見える形にしただけかもしれない」と説明している。

依頼者が死者に会えるのは月夜の晩の一回のみ。

会う場所は、どこかの高級ホテルで、

その一室に死者が待っているのだ。


 依頼者は半信半疑で部屋に入るのだが、

そこには会いたかったその人が生前の姿で

やさしく迎えてくれる。

息子として悩みを聞いてほしかった母、

自分のせいで死なせてしまった同級生、

どこかで生きていると思っていた最愛の彼女・・・。

依頼者は初めは恐る恐るなのだが、

本当に聞きたくて聞けなかったこと、

伝えたくて伝えられなかったことを
語るうち、

わだかまりや疑問や後悔が消え、

本当に素直で正直な自分を取り戻せるのだ。

 やがて夜が明け死者が消えていく頃、

依頼者に残るのは死者とツナグに対する感謝の心のみ。

ツナグ(樹木希林)は高齢で重病を患っているため、

孫の歩美(松坂桃季)が仕事を手伝っている。

彼は、父母がすでに死んでしまっているため、

後継者は自分しかいないことを知っているのだ。

しかし、本当にツナグとしてやっていけるのだろうか、

死者を呼び寄せることが本当に

依頼者の為になるのだろうか・・・、

そう考えた時なかなか後継者になる決心がつかない。


 
そんな中、依頼者の心から伝えられる感謝の言葉に、

ツナグの使命や醍醐味を強く感じ、

ツナグになることを決心する。

やがて迎える後継の儀式・・・。


  本作を見ながら、

自分がもう一度会いたいと思う人は誰だろうとふと感じた。

大学時代に亡くなった祖母?

親とは仲が悪かったが、

自分には優しい人だった。

しかし、末期のガンと知った後も、

一度もお見舞いに行かなかった。

10年前に亡くなった親父?

70歳という年齢だったが、

あと10年は生きていてほしかった。

人は誰でも一人くらいは、

もう一度会いたいと願う故人がいるのではないだろうか。





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