映画鑑賞記
「草原の椅子」鑑賞記
封切り初日に、映画「草原の椅子」を、
南町田グランベリーモール・シネマズ109で鑑賞した。
主演は佐藤浩市(遠間憲太郎)、
西村雅彦(富樫重蔵)、吉瀬美智子(篠原貴志子)。
監督は「八日目の蝉」で有名な城島出。
原作は宮本輝の同名小説だ。
宮本輝は大自然の描写が美しいと絶賛されている半面、
映像化が難しいとされてきた。
今回、城島監督が見事にそれを実現した。
話は、パキスタンの高原にある観光地から始まる。
そこに日本人の男性2人と女性1人、そして子供が1人。
周りは土産物売り場やレストランがあり、
道路を人や車や家畜などが激しく行きかう。
そして、「私達、本当にここに来てしまったのですね」と、
女性が男性に問いかけた・・・・。
遠間憲太郎はカメラメーカーの営業部長。
バツイチで娘と一人暮らしをしている。
前妻は病院の医師・道代(若村麻由美)だが、
遠間の浮気が原因で離婚した。
遠間は50歳を迎え、仕事や自分の行き先に不安を抱えている。
富樫重蔵は、遠間の会社の取引先の社長。
カメラの小売店を営んでいる。
出身は瀬戸内海の島のようだが、
父親がそこで身障者用の椅子を作っている。
この小説の題名に「椅子」があるが、その背景となっているようだ。
富樫の店に飾ってある写真に草原の椅子があったが、
それは父親が作成した椅子を島の草原に置いて撮影したものだ。
(実は富樫が購入した草だらけの小さな土地なのだが)
ある時、富樫が灯油を全身にかぶせられ、
困った富樫が遠間に助けを求める。
愛人とトラブルになり、その腹いせで全身に灯油をかけられたというのだ。
酒を飲みながら話をするうち、富樫から親友になってほしいと頼まれる。
遠間は最初は違和感を感じたが、徐々に何でも話し合える間柄になっていった。
そのような中、一人娘の弥生(黒木華)が、
ひょんなことから4歳の男の子・圭輔(貞光泰風)の面倒をみるようになる。
圭輔の母親の喜多川裕美(小池栄子)は子供に虐待をしていたが、
そのうち男を作って出て行ってしまったのだ。
弥生はかわいそうに思い、家に連れてきてしまう。
一緒に住んでいた若い父親(実の子ではなかったような・・・)、
も無責任の極地のような男で、
結局は遠間に子供を押しつけてしまう。
父親が連絡したことから、裕美が圭介を連れ戻しに来るが、
あまりにも精神的に病んでおり、子供を育てられる雰囲気ではなかった。
遠間は、こんな親に圭介を渡すわけにはいかないと、
縁もゆかりもない自閉症の子供を面倒みることに。
一方、遠間と吉瀬美智子との出会いは、
遠間がタクシーに乗っている時、
和服姿の美智子に一目ぼれしたことから。
美智子は陶器の販売店を一人で営んでいた。
そこへ遠間が訪れる。
遠間は、彼女の関心を引くために興味もない高級な陶器を買ってしまう。
実は彼女もバツイチ。
過去の悩みを抱えながら懸命に生きていた。
やがて遠間、富樫、美智子は一緒に酒を酌み交わす間柄になっていく。
遠間が圭輔を施設に預けることを決めた時、
これからは自分で自分のことを決めるのだと、
圭輔に「最後の桃源郷」と言われる、
パキスタン・フンザに旅行しようと持ちかけた。
圭輔は行きたいと答える。
数日後、遠間、圭輔、
そして富樫、美智子を加えた4人でフンザを訪れる。
それはそれぞれの自分探しの旅でもあった・・・・・。
あとは劇場で。
映像とともにストーリーも十分堪能できる作品だった。