映画鑑賞記
                           
                             

                                   
                               



                            
小さいおうち鑑賞記




 
2月1日に、センター北駅前にある、

イオンシネマ港北ニュウタウンで、

映画「小さいおうち」を鑑賞した。

この劇場は初めてだ。

スクリーンも部屋も大きいが、

たくさんの座席を確保したいせいか、

ゆったり感が無く窮屈な感じがした。

設備という点では109シネマズの方が良いと思う。


 「小さいおうち」は、中島京子の同名小説が原作で、

第143回直木賞を受賞した。

この小説に惚れ込んだ山田洋次監督が、

直々に中島に手紙を書き映画化が実現したという。

 タイトルからすると、さぞかし小さい家のように思うが、

なんのなんのりっぱな邸宅だ。

当時(昭和10年頃)はあれでも小さめだったのだろうか。


 主役は「小さいおうち」に住み込みで働いている、

女中のタキ(黒木華、倍賞千恵子)

タキは山形出身で、奉公に出たのは14歳の時だ。

場面は、60数年後のタキの葬儀のシーンから始まる。

タキは一生独身を通し、アパートに一人暮らしをしていた。

体も弱り、生活が不自由になったため、

トキの甥っ子の息子・健史(妻夫木聡)が面倒を見ていたのだ。

タキは文章を書くのが得意で、

女中の仕事を生かし、

家事の知恵などをまとめた書籍を出版していた。

その後、編集者からの勧めで回想録を出版することになり、

毎日ノートに書き溜めていた。

書き進めるうちに過去の記憶が鮮明に蘇ってくる。

 葬儀の後、甥の荒井軍治(小林稔侍)や健史たちが、

タキのアパートを整理していると、そのノートが見つかった。

健史も、タキが執筆する際、色々とアドバイスしていたので、

ノートの存在は良く知っている。

ある時、健史がタキのアパートを訪れると、

ノートにうつ伏して泣いていた。

どうしたのと聞くと、タキは号泣しながら答える。

「私はあまりにも長生きし過ぎた」と・・・。

場面は当時にさかのぼる。


 平井家の女主人・平井 時子(松たか子)は30歳前位。

10歳年上の夫・平井雅樹(片岡孝太郎)がおり、玩具メーカーの常務だ。

時子には、前夫との連れ子の恭一(秋山聰、市川福太郎、米倉斉加年)がいた。

 ある元旦の朝、

玩具会社のデザイン部に新人として入社した美大出身の板倉正治が、

新年のあいさつに板倉家にやってくる。

板倉は時子より6歳年下。

将来を嘱望されていたため、
その後も平井に度々呼ばれてやってきた。

時子は、スマートで、絵もうまい板倉に心を奪われていく。

やがて板倉の下宿にも出入りするようになり、深い関係になっていくのだ。

まじめで純真なタキは、

時子がそのような行動を取っていることを深く心配していた。

 数年後、第二次世界大戦が勃発。

体が弱く、兵役を免れていた板倉にも召集令状が届く。

そのことを告げに、平井家に最後のあいさつにやってきた。

板倉とのつらい別れ。

翌日、時子は、戦地に行く前にどうしても板倉に会いたくなった。

「そのようなことはいけません」と制止するタキ。

その勢いに押され、外出を取りやめた時子は手紙をタキにことづける。

手紙を携え、タキは板倉のもとへ・・・。

戦争が激しくなり、やがて東京大空襲が始まる。

平井宅は消失し、焼け跡から夫婦の遺体が。

しかし、息子の遺体はどこにも無かった・・・・。


 本作は恋愛ミステリー。

一方で、昭和初期のモダンな生活が、

戦争で急激に貧しくなっていくリアルさも描かれており、

面白い作品だった。




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