映画鑑賞記
                           
                             

                                   
                               



                             
春を背負って鑑賞記




 封切り2日目の6月15日(日)に、

映画「春を背負って」をTOHOシネマズららぽーと横浜で鑑賞した。

2日目という割には観客が少なかった。


 原作は、同名の短編小説(著者 笹本稜平)で、

2009年には「オール讀物」に掲載された。

NHKラジオの『新日曜名作座』という番組で、

2012年2月19日から4月1日まで放送されたこともある。

 本作の監督は木村大作。

「劒岳 点の記」で有名な監督だ。

前作と同様に山をテーマに制作されており、

場所は立山連峰の大汝山(おおなんじやま)。

3000メートル級の勇壮な山だが雪山の激しいシーンは無く、

人生に疲れた人たちが山によって癒され生きる力を取り戻す、

といった人間模様を描いている。


 本作は、厳格な父親・長嶺勇夫(小林薫)が息子の長嶺亮(子役)を連れて、

勇夫の経営する山小屋(菫小屋)に登るシーンから始まる。

険しい山道を最後まで頑張った息子に「よく頑張ったな」とほめる勇夫。


 時は流れ、息子は東京の金融会社に就職。

会社の歯車として忙しい日々を送っていた。

ある時、亮のもとに訃報が。

父が遭難者を助けようとして斜面から滑落。

岩に頭を打ち付け亡くなったのだ。

急いで実家に戻る亮。

葬儀には山の仲間たちが集まっていた。

旅館を経営する母の長嶺菫(壇ふみ)が気丈にふるまっているが、

心配する仲間たちが、菫を励ましている。

仲間には救助隊のメンバー・工藤肇(吉田栄作)もいた。

享が祭壇の前にすわると、

「勇夫を救助に向かわせたのは自分。本当に申し訳なかった」とわびるのだ。

憮然とする亮。

親父の人生はあれで良かったのかと疑問がよぎる・・・。

葬儀が滞りなく終了し、母親と話をしていると、

見知らぬ娘・高澤愛(蒼井優)が現れた。

去年から山小屋の手伝いをしているという。

3人で父親の思い出に浸っているうち、亮の滞在中に、

母、山の仲間、愛らと山小屋に行くことになった。

久しぶりに見る山小屋と、父の山小屋経営にかける思いを聞くうちに、

自分も父のあとを継ごうと決心するようになる。

「そんな甘いものじゃない」という母。

「わかっているけど、もう決めたんだ」と言い張る息子。

愛の後押しもあって、母は根負けする。

会社に退職の報告をすると、

上司から「まさかお前が山小屋経営をするとは思わなかった」と驚きの声。

それでも決意は固かった。

実家に戻り、愛と山小屋オープンの準備を進める。


 やがて予約の電話がかかってきた。

オープンから大勢の登山家がやってくる。

なれない仕事に悪戦苦闘する亮。

地元で仕入れた食品などをふらふらになりながら山小屋に運んでいた。

すると、後ろから同様に重い荷物を背負った中年が追い越していく。

亮に、「一歩一歩負けないように、普通に歩けばいいんだ」と声をかける。

結局、山小屋までついていき、報酬はいらないから一緒に働かしてというのだ。

亮は深く考えずに雇うことにした。


 中年は多田悟郎(通称ゴロ・豊川悦司)といい、

事業で失敗した後、この山に登ってきたことがある。

山小屋で勇夫に知り合い世話になったのだ。

それから一緒に働くようになった。


 亮はゴロから様々なことを学ぶようになる。

父親の山小屋経営にかける熱い思いも・・・。


 ある時、亮、ゴロ、愛の3人で酒を飲んでいた時、

愛が山小屋にやってきた時の話をし始める。

自分はある男と恋に落ちたが、実は妻子がいることが分かり破局。

落ち込んで山に登っていた時に遭難する。

その時助けてくれたのが勇夫だったという。

以後、山小屋で働くようになった。


 親父の知らない一面がだんだん見えてくる。

それでも釈然としない亮に、

「たとえ徒労に見える人生であっても、

一生懸命に生きることが人には大切なんじゃないかな」とゴロ・・・。


 客がどんどん増えて経営が順調になっていた時、

ゴロが脳梗塞で突然倒れた。

登山仲間の医師が、4時間以内に病院に連れて行かないと命が危ないという。

人生の師匠ともいうべきゴロを背負って必死に下山する亮。

「もう俺は死んでもいいからこのままにしてくれ」

というゴロを叱咤激励しながら懸命に運ぶ。

途中で、救助隊にリレーして一命を取り留めた。

 数週間後、元気になったゴロが山小屋に戻ってくる。

喜ぶ亮と愛。

そして亮、愛、菫、ゴロ、山の仲間らと雄大な山の景色を眺めるシーン。

突然、亮が愛を連れて別の場所に移動する。

「一緒になろう」と告白する亮・・・・。


 「劒岳 点の記」と違って、

泥臭い人間ドラマだったが、

こんな山小屋一度は行ってみたいなと思わせる作品だった。





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