映画鑑賞記
                           
                             

                                   
                               



                             
二つ目の窓鑑賞記




7月27日(日)に109シネマズ川崎で映画「二つ目の窓」を鑑賞した。


109シネマズ川崎は今回が初めてだ。

川崎駅西口を出るとすぐに、

ラゾーナ川崎プラザという大きなショッピングモールがあり、

そこの5階に劇場がある。

数年ぶりに川崎駅に降りたが、

西口の変容ぶりには驚いた。

当日はイベント広場に大勢の人だかりができていた。

「ボーイフレンド」という人気タレントが来るらしい。

あとで調べると、韓国の音楽グループ(ジャニーズのような)だった。

どんなタレントが来るかちょっと気になりながらも足早に劇場へ。

劇場のロビーはかなりの混雑ぶりだった。

早速チケットの窓口で空席を聞くと、

最前列の2席しか空いておらず、

ずいぶん人気のある映画だとわかった。


 本作は鬼才・河瀬直美監督によるもので、

第67回カンヌ国際映画祭 コンペティション部門にノミネートされた。

河瀬直美監督は『萌の朱雀』でカンヌ国際映画祭カメラドール、

『殯(もがり)の森』で同映画祭グランプリを受賞したということだが、

残念ながら、

どちらも知らない作品だ(そもそもルビが無いと漢字すら読めない)。


 場所は、奄美大島。

そこで暮らしている16歳の界人(村上虹郎)と、

同級生の杏子(吉永淳)が主役だ。

チケットには、二人が裸で水中を泳ぐシーンが描かれているが、

これが映画のラストシーンになる。


 冒頭から奄美の美しい海や自然の描写が続く。

この間のセリフは一切無い。

一転して夜の海。

界人が、背中じゅう入れ墨をした裸の男が、

うつぶせで浮いているのを発見する。

驚いた界人は一目散に逃げる。


 翌朝、警察が調査を行っていた。

周りには住民の人だかりが。

ようやくセリフらしいものが聞こえてくるが、

ひそひそとした普通の会話だけだ。

あたかもホームビデオを見ているような感じ。

「もしかしたらB級映画か」と思ってしまった。


 その場所には界人も学校帰りに立ち寄っていた。

帰ろうとすると杏子が声をかける。

「昨日待ってたんだよ」

無言で立ち去る界人。


 ミステリー映画のような展開だが、

決してそうではない。

本作のテーマは生と死だ。

死を強烈に描いたシーンがこのあと出てくる。

島に住む老人が海釣りをしている。

長老のようだ。

老人は一人暮らしのようだが、

時に野生と思われるヤギを捕まえ、血を抜く。

両足を縛り、頸動脈あたりをカッターで切る。

したたる血。

実際に殺しているように見える。

とても気持ちの悪いシーンだった。

ますますB級映画の思いが湧いてくる。

鬼才監督の演出かもしれないが、ちょっと腹立たしかった。

ちなみにヤギの惨殺シーンはもう一度出てくる。


 界人はもともと東京生まれ。

両親とも東京で住んでいたが、

離婚し、母親とともに奄美に渡ってきた。

父親・篤(村上洵)は東京で入れ墨屋の手伝いをやっている。

自由人という体だ。

一方、母親・岬(渡辺真起子)はレストランのシェフ。

真面目そうに見えたが、男がいるようだ。

電話で男と親しそうに話をしていた。

嫌悪感を抱く界人。

界人が父親に会いたいと言い出した。

しぶしぶ認める岬。

その後、父親と色んな話をする。

何年振りかにあった界人はうれしそうだった。


 杏子は島の娘。

三線と島歌が上手だ。

父親・徹(杉本哲太)はレストランを経営。

母親・イサ(松田美由紀)はユタ神様だ。

しかしすでに重病に犯されていた。

余命いくばくもなく、病院から自宅に戻ってきた。

杏子は最愛の母親が亡くなることが受け止められない。

まして神様なのに。

ある時、長老にその気持ちを打ち明ける。

神様でも死ぬんだよ。

でも死んだ後も、

あんたの心の中に生き続けるんだよ、と教えてくれる。


 やがてイサが死期を迎えた。

住民がイサを励まそうと集まってくる。

島歌を歌って元気づける。

うれしそうなイサ。


そして杏子を枕元に呼び、

「有難う、有難う」と感謝の言葉を繰り返す。

外には大きなガジュマルの木と、葉を揺らす風。

それを見つめるイサ。


 杏子は、最愛の人の死に臨んで心が揺れ動く中、

一方で性の目覚めも早い。

界人に好意を抱く杏子は、ある時「セックスしよう」と迫る。

躊躇する界人。

何故、と聞くと「わからない」と答える。

実は母親への嫌悪感から素直に受け入れることが出来なかったのだ。

悶々として帰宅する界人。


難しい表情で座り込む界人を母親がやさしく包み込もうとする。

その手を払いのける。

「どうしたの」と聞く母。

「うるさい。次から次へと男を入れ替える、淫乱!」とののしる界人。

ある時、岬と入れ墨の男がベッドで抱き合っているのを、

界人が目撃していた。


実は海に浮かんでいた男はその入れ墨が全く同じだったのだ。

修羅場になった時、杏子が上がり込んできた。

「あんたはなにもわかっていない」と叱責する杏子。

「おまえなんかに何がわかるか」と大声で怒鳴り返す。

家を出て行く界人。

翌朝、帰宅すると岬はいなかった。

携帯は通じない。

職場に電話しても通じない。

徐々に後悔の気持が強くなってきた。

あたりは暴風雨。

雨具を着て母親を探しまわる。


 思いあまって杏子の家に行き、徹に相談する。

「どうしたらいいかわからない」と、頭を抱える界人。

まあゆっくり話そう、と徹。

そして「どんなに嫌われても、母親は決して子供を見捨てない。

どこまでも母親は母親なんだ」と諭す。


 翌日、界人はレストランに駆け込んだ。

「俺が母ちゃんを守る。絶対守る!」と叫ぶ界人。

そこにシェフの姿をした母親が現れた。

界人を抱きしめる岬・・・・。

 
 ここまで見た頃、一緒に行った家内の気分が悪くなり、

劇場を出てしまったため、ストーリーが良く分からない。

ネットで見ると、界人と杏子がさらに仲良くなり、男女の中になるようだ。

水中での裸で泳ぐシーンはその時のものだろう。

R16ということで、きわどいシーンが何回も出てくる。


 どぎつい賭殺シーンがあったと思えば、スピリチュアルな世界あり、

成人映画かと思う性描写あり、と不思議な映画だった。

特に、台本があるような無いような、

アドリブをふんだんに取り入れているように見えた(聞き取りにくいが)。

ただ、ヤギの賭殺シーンだけは許せない!




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