映画鑑賞記
「像の背中」観賞記
「像の背中」を新百合ヶ丘にあるワーナーマイケルで観賞した。
原作は秋元康の長編小説。
何故「像の背中」なのかというと、
像は死期を悟ったとき群れから離れて、
自分の死に場所を探すという習性があり、
癌を宣告された主人公が、
自分の死を受け入れていくプロセスと対比するためだ。
主人公の藤山役は役所公司、妻・美和子は今井美紀。
今井美紀は20年ぶりの映画出演らしい。
藤山は不動産会社の営業企画部長で、
年齢的には一番油の乗り切った時期(50歳くらいか)。
しかし3年越しのプロジェクト(マンション建設)が、
いよいよ着手という段階で、
突然肺癌の宣告を受けてしまう。
しかも余命半年という診断。
はじめはあまりのショックに受け入れることができなかったが、
葛藤の中、死を素直に受け入れようと決意する。
治療を施すことすら拒否して。
それは藤山の「死ぬまで生きていたい」という思いからだ。
家族や愛人(藤山には愛人がいた)には、
とてもそれが理解することができない。
それでも最期までそれを貫いていく。
その姿を通して、
家族の絆や愛が一段と強くなっていくのだ。
作者が伝えたかったのは人間愛か。
像は死を孤独に迎えるが、
人は家族、親戚、
友人にみとられながら最期を迎えることが一番の幸せだと。
設定がサラリーマンであり50歳くらいということから、
自分とかなりオーバーラップするものがあった。
しかし自分ならどうするかという点については簡単には想像できない。
なってみないとわからないというのが正直なところだ。
家族愛にしても映画の場合は理想的過ぎるという印象が残る。
実際にはもっと深刻なこともあれば、
場合によっては淡白に過ぎ去ってしまうこともあるだろう。
まあ皆さんも是非鑑賞して考えていただきたい。