映画鑑賞記
                           
                             

                                   
                               



                
 ジヌよさらば~かむろば村へ~鑑賞記





 4月17日(金)に、

シネマズ東宝ららぽーと横浜で、

映画「ジヌよさらば~かむろば村へ~」を鑑賞した。

前回に引き続き、プレミアムシートだった。


 本作は、小学館ビッグコミックで連載された、

いがらしみきおの漫画「かむろば村へ」が原作。

監督は、松尾スズキ、主演は松田龍平。

松尾監督は、ヤクザ・多治見としても出演している。

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 かむろば村は、65歳以上の老人が40%占めていて、

限界集落寸前の東北の寒村だ(ロケ地は福島県奥会津にある柳津町)。

かむろば村の交通機関は村役場が購入したマイクロバス。

運転手は、異常な世話好きの村長・天野与三郎(阿部サダヲ)。

病院も学校も銀行も無いかむろば村の住民たちを、

目的地まで与三郎が送り迎えしているのだ。

 マイクロバスの停留所のベンチに、

女子高生・青葉(二階堂ふみ)とヤクザ・青木(荒川良々)が並んで座っている。

青木は強い東北なまりで、しきりと「猫になりて~」と繰り返している。

「ヤクザは大変なんだぞ。おまえにこの大変さがわかるか。ああ、猫になりてぇ~」

と、青葉に聞かせようとするが、

ほとんど無視して携帯ゲームに興じている。

そこに大きな荷物をいくつも抱えた若者・高見武春(松田龍平)がやってきた。

 武春は以前、東京で銀行マンをしていた。

しかし、自殺に追い込まれた融資先を目の当たりにしたことがきっかけで、

お金を見ると過去の忌まわしい思い出が脳裏に浮かび、

気を失ってしまう「お金恐怖症」になってしまった。

そのことから、お金を使わない生活をしようと、

逃げるようにかむろば村へやってきたのだ。

 見慣れぬ若者が突然やってきたことから、

やくざの青木が「おまえは何しにここへやってきた?」と因縁をつける。

「かむろば村へ行くためにやってきました」と普通に答える武春に、

「なにぃ
」とつかみかかろうとする。

そこへ丁度バスがやってきた。

バスが停車し、与三郎が降りてきた。

「おめが、かむろば村に住みたいという若者か、

さあさあ、乗って乗って」とせきたてる。

ヤクザにつかみかかられていた武春もバスの到着に助けられた。

 バスに乗っているのは大半が老人だ。

やたらと人懐っこく、しきりと武春に話しかけてくる。

「無一文で生活する」と聞くと「ムリムリムリ」とあきれ顔で声を合わせた。

バスは目的地に着くと、老人たちを乗り降りさせる。

 村には、神様と呼ばれる長老・なかぬっさん(西田敏行)が住んでいた。

カメラをさげて、杖をつきながら村中を歩いている。

写真を撮るのが趣味なのだ。

時折、目がぴかっと光るが、嬉しいことがあった証拠だ。

移動するバスを見ながら、

「無一文で生活しようなどという変わった若者がやってきた。面白いねぇ」

と、目が光った。

なかぬっさんは不思議な力を持っている。

怒っている人の体を、ただ触っただけでおとなしくできる。

相談ごとがあると、

「必ずなんとかなる。思った通りではないけども」というのが口癖だ。

やがてバスは、崩れ落ちそうな民家に着いた。

そこが100万円で手に入れた武春の住居だ。

武春も下車し、与三郎が案内する。

「へぇ、いいですねぇ」と喜ぶ武春。

与三郎が荒々しく荷物を部屋にほおり投げる。

部屋には大きな囲炉裏があった。

「今は電気も水道もガスも止まっている。お金を払わないと生活できないぞ」

と、与三郎。

「いや構いません。自分は一切お金を使わずに生活しますから」と武春。

「おめバカなの!? 東北の寒さをなめんなよ」と与三郎。

「いや大丈夫です」と武春が意地を張る。

「勝手にしろ。おめ死ぬど!」と言い残して与三郎が去って行った。

その夜、暖房もない部屋で、下着を重ね着し、

布団をかぶって寒さを凌ごうとするがさすがに耐えかねた。

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 翌朝、武春のために、

与三郎が村唯一のスーパー「あまの」から調達してきた食料品を持ってきた。

スーパー「あまの」は、与三郎の経営する店で、

美人妻で村で唯一まともな存在の亜希子(松たか子)が切り盛りしている。

与三郎は、囲炉裏に火を付けてやり、武春に温かい食事を食べさせてやった。

「ありがとうございます」と急いで食べ物にありつく武春。

後日、スーパーあまので働かしてほしいと願い出る。

バイト代は食料品の現物支給で構わないという。

問題はレジ。

お札を見ると目が廻り、倒れてしまうのだ。

驚く亜希子。

必死で頑張る武春。

 ある時、食材を伊佐旅館に届けることになった。

伊佐旅館の女将・奈津(中村優子)は、なかぬっさんの娘だ。

こんな美人がいるのかと驚く武春。

代金を払ったのは、伊佐旅館の板前・勝男(オクイシュージ)。

顔に傷があり、ヤクザのように威圧感がある。

ビビりながら代金を回収する武春。

ある時は、借りている水田に田植えをしようとするが、

一度もやったことが無い。

見かねた与三郎が、水田の持ち主・みよんつぁん(モロ師岡)を呼んできた。

田植え機を貸してくれるという。

みよんつぁんが、武春と田植え機を車で運び、操作を教えようとするのだが、

田植え用長靴も持たない武春に「おまえはなめているのか」と怒る。

与三郎が長靴を貸してくれた。

しぶしぶ、みよんつぁんが教えようとすると、武春が「僕は手植えします」と言う。

つかみかかる、みよんつぁん。

武春は衰弱していたのか、気を失ってしまった。

むしろに寝かされる武春。

何時間か経って目が覚めると、田植えは終わっていた・・・・。

一銭もお金を使わないで、ただ生きるために必死で活動を続ける武春。

仕事を得る為に、ただでもらった三輪自転車にのぼりをくくりつけ、

村中を駆け回った。

のぼりには「よろず面倒仕事、物々交換にて請け負います。

人間 高見武春」と書いてある。

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 村人の助けを受けながらも、徐々に無一文生活が定着してきた。

そんな武春に、600万円の貯金があった。

それを聞きつけた、女子高生・青葉が自宅に突然やってきた。

「私、ファンなんです」と。

戸惑いながらも、あまりの可愛さに青葉に部屋にあげてしまう。

青葉が600万円の貯金通帳を見せてほしいと頼んだ。

お金に興味のない武春は気軽に通帳を渡す。

寝転がりながら興味深々に通帳を見る青葉。

スカートの奥から、色っぽいパンツがちらちら目に入る。

ムラムラとした武春が青葉に抱きつきキスをする。

青葉は拒まない。

事が済んで「すごいキスでしたね」という青葉に、

「ごめん、久しぶりに女の子を見たのでつい・・」と武春が答える。

「また来ます」と言って帰っていく青葉。

その時から、武春は青葉のとりこになってしまった。

後日、青葉が一升瓶を持ってやってきた。

「これはお詫びの印です。私は、彼氏にこの前のことを話しました。

あとで彼氏がやってきます」と。

あっけにとられる武春。

そこへヤクザの青木がやってきた。

「おれの女に手を出したな。一体どうしてくれる」と因縁をつけられる。

慰謝料に600万円よこせというのだ。

結局、美人局にひっかかってしまった。

しかし、そのためには銀行に行って下ろすしかない。

3人で銀行に行き、下ろそうとする。

そこに与三郎が現れた。

与三郎は青木をぼこぼこにする。

路地裏に追い詰めた青木に、そばにあった椅子でなぐり殺そうとするが、

間一髪のところでなかぬっさんが止めた。

600万円の恐喝から免れた武春は、

その夜、青葉に振られたことがショックで、飲めない酒をあおるように飲む。

悪酔いして吐きまくる武春を慰めようとする与三郎に、

「あんたは、おれの気持ちなんてわかっていない。

あんたはいいよ。村長になって、みんなから尊敬されて」と武春が毒ずく。

「あんたは、頼まれればなんでもすると言ったな。

だったら、あんたの体で俺を慰めてみろ!」と武春。

「ふざけるな。おれは、なにもかも捨ててここに来たんだ。

おまえにそんな覚悟があるのか」と武春を殴りつける与三郎。

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 翌日「昨夜は済みませんでした」と与三郎に謝る武春。

深く反省しつつ、無一文生活を送る武春だったが、青葉の事が忘れられない。

ある時、青葉を村のマイクロバスに乗せてドライブに出かけた。

ペーパードライバーの武春は、運転ミスしてバスを横転させてしまう。

おまけにヤクザの青木の愛車、スカイラインGTRを大破さてしまった。

悔しがる青木。

結局、武春はけがをして入院、青葉もひたいに傷を負ってしまった。

退院後、村の大切なバスを壊してしまったお詫びに、

銀行から決死の思いで下ろしてきた500万円を弁償にあてようとする。

スーパー「あまの」で働く、パートのいそこ(片桐はいり)とともに、

村長室を訪れ500万円を渡そうとする。

頑として受け取らない与三郎。

「武春さんがどんな思いでこのお金を用意してきたか」と、

いそこが説得するが聞く耳を持たない。

一触即発の中で、

「それではバスのネーミングライツ代として500万円払わせて下さい」

と、武春が提案する。

それならば、ということで話がまとまった。

その後、中古のバスが運ばれてきた。

付けた名前は「ほでなす号」。

「ほでなす」とは、東北地方の方言で「愚か者」のことだ。

以前のように、村長がさっそうと運転し、村人を送迎する。

そんな中、いつものようにマイクロバスを運転しようと村長がやってくると、

「ほでなす号」の名前がペンキで落書きされていた。

誰かの悪質ないたずらだと思った。

しかたなく、伊吉の妻・トキ(伊勢志摩)の機転で、

村のイベントが印刷されたポスターを張った。

ポスターには、なぜか三谷幸喜の写真が掲載されている。

 ある時、村長に会いたいという、

不気味なヤクザ・多治見(松尾スズキ)が現れた。

与三郎が会いに来ると、そこには顔見知りの顔が。

慌てる与三郎がバスの中に多治見を誘い「ここへ何をしに来た。帰れ!」と告げる。

「あんたのおかげでこんな体になってしまったんだ。

おまえに復讐するためにここへやってきたんだ。

簡単に帰るわけにはいかない」と言う多治見に、

キレた与三郎は、多治見を外に引きずり出し、ボコボコにする。

血まみれになる多治見。

執拗な多治見は、その後もストーカーのように与三郎を追い回す。

村人は、与三郎と多治見は一体どんな関係なのかといぶかった。

ある時、与三郎の妻・亜希子を誘拐した。

目撃者によると、武春の自宅に連れていかれたという。

武春が急いで自宅にもどる。

亜希子は後ろ手に縛られていた。

金を渡すから亜希子さんを放せというが、

金に興味のない多治見に一撃で倒されてしまった。

二人とも捕えられ、なすすべもなくなった時、

男が入ってきて鉄パイプで多治見の後頭部を殴った。

折れ曲がる鉄パイプ。

多治見は気絶し、二人は助けられた。

男は、伊佐旅館の板前・勝男だった。

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 多治見が大けがをして入院したためしばらく顔を見せなくなった頃、

伊佐旅館では村の有力者たちが宴会を催していた。

メンバーは、青石町の議員・青砥(皆川猿時)とその一派。

青砥は、県知事になることを目指している。

そのために青石町とかむろば村を合併することを考えていた。

限界集落のかむろば村は、いずれ無くなってしまう。

その前に、ダムを作ろうというのだ。

しかし、与三郎にはその考えは無い。

最後まで愛するかむろば村を守ろうとしていた。

与三郎を村長から退ける為に、次の村長選には、

かむろば村の助役・伊吉(村杉蝉之介)を候補者にしようと企てた。

この宴会にも伊吉が参加しており、青砥達からさかんに勧められるのだ。

何回か勧められるうち、ようやく伊吉が立候補することを決めた。

与三郎も立候補の準備を始めようとした時、

しばらく顔を見せなかった多治見が現れた。

殺人事件の指名手配犯・与三郎が、

かむろば村に隠れていることを警察にリークする。

やがて与三郎は逮捕。

容疑は元愛人の殺人。

しかし、真犯人は別にいた。

与三郎を村長から追い落とすための罠なのだ。

それでも罪をかぶろうとする与三郎。

このままでは伊吉が村長になり、青砥の思うつぼになってしまう。

自分の代わりに武春に立候補することを勧める。

政治には全くの素人。

演説もできない。

しかし、与三郎やかむろば村の住民の恩に報いようと立候補を決めたのだ。

早速ポスターを作成した。

そこには、

「なにも買わない、なにも売らない、ただ生きて行く」

と、書いてあった。

必死で選挙運動する武春・・・。

警察に拘留されていた与三郎が釈放された。

真犯人が名乗り出たのだ。

伊佐旅館の板前・勝男だった。

勝男は、与三郎や多治見と同じヤクザ仲間だった。

ある時、与三郎の愛人に手を出した多治見。

そのことがばれてしまった。

困った多治見が、勝男を使って愛人を殺す。

それも与三郎が殺ったように仕組んでいたのだ。

与三郎は勝男が殺ったことを知り激怒。

勝男を呼び出し、フォークを頬に突き刺した。

勝男の傷はその時のものだ。

それでも、かわいい子分ということで最後は見逃してやった。

与三郎は殺人の指名手配者として警察に追われる身になった。

なにもかも捨ててたどりついたのが、かむろば村。

そこで拾ってくれたのが神様・なかぬっさんだった。

なにもかも捨てて一からやり直そうとする与三郎を気にいったのだ。

その後、なかぬっさんは、自分の娘と結婚させる。

娘は伊佐旅館の女将・奈津。

奈津との間に、与三郎とそっくりな息子・進(田中仁人)が生まれた。

与三郎はやがて村長になる。

なかぬっさんが支持すれば村人はその人に投票するのだ。

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 圧倒的に不利な立場にある武春に、なかぬっさんが味方についた。

釈放された与三郎も応援する。

村人の前で下手な演説をする武春。

さえない話に村人ががっかりする。

しかし意を決した武春が、バケツを持ってきた。

そして手に持った札束に火を付けバケツに落とす。

残り財産のすべてだ。

「僕にはこれでなんの財産もありません。でも、かむろば村の為に人生を捧げます」

捨て身の演説をする武春に村人も心を動かされた。

選挙は武春に有利に進むと思われた時、なかぬっさんが死んだ。

温泉につかりながら「人には限界があっていいなあ」とつぶやきながら死んでいく。

なかぬっさんが死ぬ前に、

不思議な力で呼び寄せた多治見も温泉の湯にうつぶせになり死んでいた。

村は喪に服すために選挙を1ヶ月延長させる。

そんな中、伊吉は立候補を取りやめる。

汚い手を使う青砥に嫌気がさしたのだ。

1ヶ月後、選挙戦が再開した。

その頃、開催された村のイベント(三谷幸喜はいなかった)で、

居合せた武春が与三郎に「村長選に出るんスか」と訊く。

「出る」と与三郎。

「おめは?」

「出ます」と晴れやかに答える武春・・・。

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 荒唐無稽なストーリーで、結構笑える映画だった。

限界集落を背景にしており、リアルな社会問題も表現している。

柳津町は実際に限界集落ということでロケ地に選ばれたという。

町を元気にしたいという地元の思いもあって、

町をあげての協力が得られたようだ。

松田龍平のコメディアンぶりは見もの。

美人女優や、個性豊かな俳優も大勢出ていて楽しめた。

与三郎と伊佐旅館の女将・奈津は結局離婚したようだが、

ストーリーにあったかどうか思い出せない。

あと、イベントポスターに三谷幸喜の写真が出ていたのは余計だった。





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