映画鑑賞記
                           
                             

                                   
                               



                
 駆け込み女と駆け出し男鑑賞記




 5月16日(土)に南町田109シネマズで、

映画「駈込み女と駆出し男」を鑑賞した。

原作は、井上ひさしの小説『東慶寺花だより』。

監督・脚本は原田眞人。

江戸時代に幕府公認の縁切寺とされた東慶寺が舞台だ。

タイトルこそコメディタッチだが、

セリフに昔言葉や方言がふんだんに使われている。

そのうえ、高速でしゃべるので非常に分かりにくい。

見終わった後、原作を読んでみたいと思った。

(多分読まないと思うけど・・)。

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 場面は、二人の駈込み女の、駆け込む前の生活から始まる。

一人は、

日本橋の豪商で唐物問屋を営む堀切屋三郎衛門(堤真一)の愛人

・お吟(満島ひかり)。

 夫の身の上に不信を持ち、東慶寺に駆け込んだ。

お吟、堀切屋が、どのように財産を築いたのか、

もしかしたら大勢の人を殺めたのではないかと疑問を持っている。

 もう一人は、働き者で腕の良い鉄練りの女・じょご(戸田恵梨香)。

七里ガ浜・浜鉄屋のたたら場(当時の製鉄場)で働いていたことから、

顔に火ぶくれがある。

夫・重蔵(武田真治)は仕事もせず、放蕩三昧。

愛人宅に入り浸っている重蔵を迎えに行ったところ、

人三化七(にんさんばけしち)と罵られた。

結局、じょごは夫の暴力に耐えかねて、東慶寺に駆け込んだ。

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 じょごが一人で東慶寺への山道を急いでいた。

そのうちどんどん奥深くなり、道に迷いそうになる。

ふと見ると足元にメリケンサックのような器具が落ちていた。

じょごは、護身用に使えると思ったのか、それを拾い指にはめた。

さらに山道を進もうとすると女の声がする。

足をくじいて動けなくなったので、

東慶寺に連れて行ってほしいというのだ。

話を聞くと、ここで山賊に襲われたが、

メリケンサックで殴り倒したという。

行き先が同じだったため、

じょごは大八車にお吟を乗せて東慶寺近くまでやってきた。

そこに陣笠のようなものをかぶって顔を隠したあやしい男が迫ってきた。

追っ手と思ったじょごは必死で大八車を引く。

しかし、車輪がはずれて動かない。

仕方なくお吟を背負って東慶寺へ続く階段を登る。

男が迫ってくる。

捕まると思った時、じょごがメリケンサックで男を一撃!

男は気を失う。

かろうじて二人は逃げ通すことができた。

 実は、じょごが倒した男は追っ手ではなく、

戯作者志望の医者見習い・信次郎(大泉洋)だったのだ。

女たちの聞き取り調査を行う御用宿・柏屋に居候するためにやってきていたのだ。

いつか曲亭馬琴(山崎努)のような戯作者を目指す信次郎にとって、

東慶寺は、資料の宝庫であり、人間を知るための絶好の場所だった。

駆け込んできた女たちは、まず門前で意思表示したのち、

御用宿・柏屋で聞き取り調査が行われる。

 柏屋では主人の源兵衛(樹木希林)が入山までの流れを説明する。

入山するには格付け料が必要で、金額によって待遇が異なるという。

最高位は上臈衆格、第2位は御茶間格、最下位は御半下格。

お吟は修行三昧で日々を暮らす最もお高い「上臈衆格」に、

じょごは雑用もこなす「御半下格」になった。

 横には番頭の利平(木場勝己)と女房のお勝(きむら緑子)などが控えている。

説明の後は、飛脚を立てて駈込み人の親元や名主、

夫方を呼び出して協議を行い、まとまれば離縁が成立する。

成立しない場合は東慶寺入りし、

2年の修行を終えれば晴れて離縁成立である。

聞き取りの最中、信次郎はじょごの顔のやけどが気になってうずうずしていた。

はじめは心を開かなかった嫌がるじょごを、

「顔を直すことでバケモノ扱いする夫への逆襲になる」と説得し、

治療をすることになったのだ。

やけどが治るまで柏屋で世話になることになったじょごは、

信次郎を手伝って薬草採集をするのだが、

傷が癒えてくるにつれ、見違えるほどの美人であることがわかった。

草食系で奥手の信次郎だったが、その美しさに魅入られ、

じょごの離婚が成立する頃には「自分の嫁になって、一緒に九州に行こう」と、

告白することになる。

一方、呼び出しを受けた堀切屋は、

可愛がってきたお吟に裏切られたことで、

「自分の裏稼業を知り、身の安全と金目当ての為に駆け込んだのか」と怒り心頭に。

しかし、東慶寺は徳川家康のお声かかりの寺ということで、

堀切屋が呼び出しに応じなかったため、

お吟は、寺役人の石井与八(山崎一)の引率で入山することになった。

やがて堀切屋は、お吟を取り戻すために信次郎を拉致し拷問にかけるが、

その時に、お吟が裏切ったのではなく、

重い病にかかっていることを夫に見せたくないために入山をしたことを知り、

お吟を追うことをやめた(その後、堀切屋は幕府に捕まる)。

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 東慶寺での2年間は、駆け込んできた女たちの身の上に起こる事件に、

信次郎をはじめ、お吟やじょごたちも巻き込まれ、翻弄されることになる。

当時、江戸幕府では老中・水野忠邦(中村育二)が、

政治改革(天保の改革)を強力に進めていた。

そのひとつとして、前の時代に作り出された豪奢な風俗を敵視し、

さまざまな統制令を発布した。

神田明神の山車の市中練り歩きの禁止から始まり、

女浄瑠璃、浮世絵、相撲、歌舞伎、女義太夫が禁止または規制を受けた。

さらに、寄席の規制、人形浄瑠璃、落語、手品、写し絵、鳴り物、女芸人、

茶汲み女、大川(隅田川)の花火、入込湯(混浴)などが禁止になった。

統制令を徹底させるために、町奉行の鳥居耀蔵(北村有起哉)は、

摘発のために、密偵やおとり捜査まで実施させた。

やがて東慶寺もその対象になった。

 男と触れ合うことが禁じられている東慶寺で、

駈込み女の一人・おゆき(神野三鈴)が妊娠騒動を起こしたからだ。

そのことを聞きつけた鳥居耀蔵が、玉虫(宮本裕子)を密偵として送りこんだ。

水野忠邦は、尼でもある駈込み女が規則を犯したことを理由に、

東慶寺のお取り潰しを画策していたのだ。

しかし、信次郎の医者見習いとしての勘と、必死の説得によって、

おゆきの想像妊娠であったことがわかり、お取り潰しをまぬかれた。

 一方、信次郎から玉虫の行動を監視せよと指示されたじょごは、

妊娠騒動の最中に、

東慶寺の秘密の部屋で十字架に向かってひざまずいているところを発見した。

問い詰めると、「隠れキリシタンとして、ここで生きていきたいという」。

東慶寺は実は隠れキリシタンの駈込み寺(教会?)でもあったようだ・・・・。

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 本作は江戸情緒がたっぷり詰まった人情時代劇である。

「権力と戦う人々の心意気を描きたかった」という原田監督の言葉通り、

痛快な作品となっている。




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