映画鑑賞記
「Dearダニー 君へのうた」鑑賞記
9月12日(土)に恵比寿ガーデンシネマで、
映画「Dearダニー 君へのうた」を鑑賞した。
恵比寿ガーデンシネマに行くのは初めてだ。
当シネマは恵比寿ガーデンプレイスのほぼ中央部に位置し、
シャトー広場の左側にある。
JR恵比寿駅からガーデンプレイスまでは結構な距離があるが、
動く歩道(スカイウォーク)を歩いていけば5分くらいで到着する。
ただ、ガーデンプレイスの入り口から映画館までさらに5分程度歩く。
ガーデンプレイスは、しゃれた洋風の館、高級感のあるデパートやホテル、
異国情緒あふれる広場など、なかなかの観光スポットだ。
自分は25年ほど前に恵比寿で働いていたが、
当時は旧国鉄の時代で、このあたりは殺風景な場所だった。
線路のすぐそばに古い電車の車両を利用したビヤガーデンがぽつんとあった。
ビアステーションと呼んでいたが、
サッポロビール工場から直接運ばれるビールが飲めて、
サラリーマンにはなかなか盛況だったようだ(多分、自分は行っていないが)。
今もビアステーションは存在しているが、
車両ではなく、普通のお店になっている。
この日も大勢の客でにぎわっていた。
本作は、イギリスのフォークソング歌手のスティーヴ・ティルストンに、
実際に起こったエピソードをもとに作られたアメリカ映画(2015年公開)。
主演はアル・パチーノ、監督・脚本はダン・フォーゲルマン。
アル・パチーノといえはゴッドファーザーが有名だ。
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1971年6月、若いロック歌手、
ダニー・コリンズ(アル・パチーノ)が音楽雑誌のインタビューを受けていた。
ダニーのアルバムがヒットしたからだ。
曲がジョン・レノンに似ていると聞かれると、
「もっとも崇拝する人だ」と答えるダニー。
「君は大成し、富と名声を得る」と記者は予言するが、ダニーはなぜか脅えていた。
「怖いから」と・・・・・・・。
2014年7月、ロサンゼルス。
ロック界の大スター、ダニーの公演が始まる。
チケットは完売だ。
しかし、ダニーは腹が出た、白髪の目立つ老人になっていた。
クスリの粉末を吸い、ウィスキーを呑み、ステージに出る。
往年の大ヒット曲「ヘイ・ベイビードール」を唄うと観客は大喝采。
しかし、観客には若い人もいるが、中年、熟年が目立つ。
親友で、長年のマネージャーを務めるフランク(クリストファー・プラマー)が、
「いい公演だった」と言うが、
同じステージの繰り返しに、どんよりとした疲れを感じていた。
仕事が終わるとダニーは高級車を運転しプール、
エレベータ付きの豪邸に帰っていく。
そこには若い婚約者・ソフィー(カタリーナ・キャス)が待っていた。
翌日、ソフィーは豪邸でダニーの誕生パーティを盛大に開く。
宴が終わり皆が解散した頃、プールそばでは酔いつぶれて、
あられもない格好のソフィーが寝込んでいた。
その姿を見ながらダニーとフランクが談笑している。
話の途中でフランクが大きな包みを出してきた。
前置きの話をしたあと「開けてみろ」という。
怪訝そうに開けてみると、そこには額に入った手紙が・・・。
なんと崇拝するジョン・レノンが書いたダニーへの手紙だった。
「金持ちで有名になることで君の音楽は堕落しない。音楽と自分自身に忠実であれ。」
デビュー間もない43年前、雑誌のインタビューで、成功への不安を語ったダニーに、
ジョンが励ましの手紙を書いてくれたのだ。
そして「さて、君はどう思う」と結ばれ、
その下に自宅の電話番号まで添えてあった。
しかし、編集者がコレクターに売りつけたために、
結局ダニーのもとへは届かなかったというのだ。
大喜びしたのもつかの間、
ジョンに電話できなかったことの落胆と後悔の気持ちで落ち込んでしまう。
「あの時、電話していればこんな堕落した人間にはならなかった」と。
手紙のおかげで目を開かされたダニーは人生を変えることを決意する。
翌日、仕事から帰ったダニーは大きなバッグに荷物を詰めて、
ソフィーに別れを告げようとする。
ベッドルームに行くと、あわててソフィーが出てきた。
実は別の男と浮気していたのだ。
しかし、ダニーは慌てない。
男がいることはすでに気付いていた。
隠れている男に「怒らないから出てこい」と呼びかける。
気恥かしそうに出てくるパンツ一枚の男。
そして、ソフィーに、
「財産はすべて君らに譲る。結婚の契約を結ばなくて良かったな。
結んでいたら財産は君のものにはならなかった」と言う。
ダニーは女が財産目当てというのを知っていたのだ。
喜ぶ二人。
ダニーは高級車に乗ってニュージャージーに旅立った。
ダニーが小さなホテルに飛び込みで入ると、
ドアマンのニッキー(ジョシュ・ペック)もフロント係のジェイミー(メリッサ・ブノワ)も、
突然現れた大スターに舞い上がるが、
支配人のメアリー(アネット・ベニング)だけは落ち着いていた。
女性の支配人メアリー(アネット・ベニング)は、
ダニーのジョークと夕食の誘いを気の効いた返しであしらってしまう。
気に入ったダニーは長期滞在を決める。
そしてダニーはフランクを呼ぶと、
ツアーはキャンセルし、クスリと怠惰な生活とは縁を切り、
30年ぶりに新曲を書くと宣言する。
ホテルの部屋に、スタインウェイのグランドピアノが運びこまれる。
そして、クスリもトイレに流した。
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ダニーがニュージャージーに来たのはもう一つの目的があった。
それは顔も見たことのない息子のトム(ボビー・カナベイル)に、
会いに行くことだった。
勇気を出して訪ねてみると、
妊娠6カ月の妻・サマンサ(ジェニファー・ガーナー)と、
7歳になる娘のホープ(ジゼル・アイゼンバーグ)がいた。
可愛くて無邪気に話しかけてくるホープが、
多動性障害だと聞きかされる動揺するダニー。
サマンサがトムに電話をすると勤め先の建設会社から駆け付けた。
初めて出会うトムに親しく話しかけるが「二度と来るな」と言われてしまう。
ホテルに戻ってバーで泥酔するダニーに、声を掛けるメアリー。
ダニーは今日のことを語る。
話題は尽きることなく、軽妙な掛け合いを楽しみながら飲み明かす二人。
そして部屋に運び込んだピアノで書きかけの曲をメアリーに披露する。
「心のなかは春だけど 外には紅葉が舞ってる・・・」。
歌が途中で終わってしまうが、
メアリーは新曲も息子も諦めないようにと励ますのだった。
次の日から、なりふり構わず息子一家に愛情を捧げるダニー。
またも息子の家に行く。
今度は公演用大型バスだ。
バスのサイドには大スター・ダニーのポスターが描かれている。
今から2時間後にホープを面接に連れていくという。
実はコネを駆使して、
障害に取り組む有名学校へ入学する約束を取り付けたのだ。
普通に申し込むと競争率が何倍にもなる学校だ。
今回は優先的に入学できるというのだ。
躊躇するトムを横目に、面接に行きたいというサマンサ。
しぶしぶ付いていくトム。
学校に着くと校長と面談が始まった。
面談後、校内を見学し、授業を体験する。
サマンサとホープはすっかり気に入ってしまった。
問題は学費や通学費の負担。
不安そうな息子夫婦に「心配するな自分がすべて負担する」とダニーが言う。
学校の送迎も自分がタクシーをチャーターするというのだ。
結局、サマンサの強い希望で入学することになった。
その後、大型バスで帰ってきた4人。
先にサマンサとホープをバスから降ろさせるトム。
バスの中でダニーとさしで話をする。
話題は亡くなった母の話へ。
白血病の母と、生まれたばかりの子供を見捨てた父をずっと恨んできたと訴えるトム。
ひたすら謝罪するダニー。
トムは「今日の恩で恨みは消えた。でも俺たちに会うのはこれが最後にしてほしい」
と、告げる。
話が平行線になっていた時、トムの表情が暗い事に気づく。
「体の具合が悪いのか」と聞くと、母と同じ白血病が進行しているという。
愕然とするダニー。
強く息子の手を握り「嫌われても、俺はお前の病気につきあう。
俺が絶対直してやる」と宣言するダニー。
「サマンサは知っているのか」と聞くと、
トムは「話していない」と言う。
これまで出張に行くと偽ってこっそり治療を受けてきたのだ。
「サマンサにそのことを告げるべきだ」とダニーに言われ、初めて妻に告白する。
「実は今度検査結果が出る。結果が悪ければ俺は死ぬ」と。
ショックでうなだれるサマンサ。
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ダニーがホテルに戻ると突然、フランクがやってきた。
いつもとは違う神妙な面持ちで、話があるという。
これまで個人資産を売却して事務所を維持してきたが、
このままでは破産するというのだ。
破産を防ぐためには、どうしてもコンサートの再開が必要だと訴える。
気持ちが揺れるダニー。
今までのマンネリ化したコンサートはもうやりたくない。
だが、破産してしまうと可愛い孫や息子の病気を治すことができなくなる。
思い悩んだ末、コンサートを再開するが、
一度だけプライベートコンサートをやらせてくれという。
プライベートコンサートで、
これまでホテルで作ってきた新曲を披露したいというのだ。
それがうまくいったら、前のように全国ツアーを再開すると約束する。
ダニーの気持ちを汲み取り、承諾するフランク。
フランクはプライベートコンサートの準備に入っていった。
準備をするかたわら、フランクはある日サマンサの家に行く。
驚くサマンサ。
自分はダニーのマネージャーであり古き親友であることを告げた後、
ダニーと出会った時のエピソードを語り始めた。
昔は、自分も酒に酒におぼれたどうしようもない人間だった。
治療に行った病院でダニーに会う。
ダニーも同じアルコール中毒だった。
しかし、フランクのことを心配したダニーが、
アルコール中毒を直すための水を毎週送ってくれたというのだ。
自分のことはそっちのけで。
ダニーのおかげで自分は立ち直ったという。
「いったい何を言いたいの?」といぶかるサマンサに、
「それだけダニーは良い奴なんだ」と言って去っていった。
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プライベートコンサートの日がやってきた。
コンサートは大きなレストランで開催したが、
息子夫婦、ホテル支配人のメアリー、元婚約者・ソフィーをはじめ、
大勢のファンでぎっしりだった。
メアリーは、ダニーの新曲発表を楽しみにしていた。
ダニーも今度こそメアリーと食事ができると意気込んでいた。
いよいよ開演。
意気揚々とダニーが入ってきてピアノの前にすわり、新曲のイントロを弾き始めた。
しっとりとしたメロディーが会場を包む。
しかし、往年のファン達がざわめく。
そのうち「ベイビードール!、ベイビードール!・・・・」と連呼し始めた。
戸惑うダニー。
結局、ピアノ演奏を隣にいたピアニストに替わりベイビードールを歌い出した。
大喜びする観客。
表情が曇るメアリー・・・。
結局、これまでのコンサートと何も変わらなかった。
コンサートが終わり楽屋に戻る。
そこには、ソフィーと、ソフィーが付き合っている男が嬉しそうに出迎えた。
ダニーにもらったクレジットカードから金を降ろしてここまで来たというのだ。
ぐったりとしてダニーが倒れるように椅子に座りこむ。
その拍子で、額に入ったジョン・レノンの手紙が落ちて、ガラスがわれてしまう。
ソフィーにクスリをくれといって吸い始めた。
そこへ息子夫婦が入ってきた。
あわててクスリを隠そうとするダニー。
「何をしている!」と厳しい声をかけるトム。
何も答えられないダニー。
落胆したトムは妻と子供を連れて帰って行った。
元の堕落人間に戻ってしまったダニーは、その後ホテルに戻る。
ソフィーとソフィーの連れの男とともに一夜を明かした。
朝になって支配人のメアリーがダニーの部屋に入ると、
寝ぼけ眼のソフィーが起きてきた。
部屋は酒の瓶や食べ物のくずが散乱していた。
事態を把握したメアリーは、
ソフィーに自分が支配人であることを告げ、さっさと出て行った。
その後、ダニーが身づくろいを整えフロントに出てきた。
フロントにはジェイミーしかいない。
ダニーが今からチェックアウトするという。
「メアリーは?」と聞くと「支配人は会わない」と言う。
奥の部屋にいると思ったダニーが大声でジョークを飛ばす。
メアリーは答えない。
チェックアウトを済ませ玄関に出ると、
ドアマンのニッキーがダニーの高級車に乗って出てきた。
キーを渡そうとすると、「この車は君にあげる」という。
大喜びするニッキー。
タクシーを呼んでもらうと、メアリーが笑顔で出てきた。
「昨日はすまなかった」と謝るダニーに、
いつものように軽妙な受け応えでメアリーが送り出す。
ダニーの行き先は診療所だ。
その日は、トムの検査発表の日。
トムの家では、トムが身重のサマンサにキスをしながら「行って来るよ」と告げる。
トムが診療所に入ると、待合室にダニーが座っていた。
驚くトム。
受付を済ました後、椅子に座ろうとするが空いていない。
トムの横だけが空いていたので仕方なく横に座る。
「やあ!」と気さくに声をかけるダニー。
トムは気まずい時間を過ごす。
しばらく待つと順番がやってきた。
トムと一緒に診察室の入る。
検査結果を聞くためにベッドの上に二人で腰かける。
そして、ダニーがトムの肩に手をかけながらやさしく声をかける。
「これまで何回かここに来たが、ひとつ発見したことがある。
それはドクターが、お前のことをトムと呼ぶ時は良い知らせだ。
苗字を呼ぶ時は悪い知らせだ。
だから今日はトムと呼んでくれるように祈ろう。きっと呼んでくれる」
うなずくトム。
ダニーがトムの手を取って、祈るように待つ。
そこにドクターの声が。
「トム!今から検査結果を発表するよ」
二人の笑顔がはじけた。
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ジョン・レノンの手紙から大スターの人生が大きく変わっていくストーリー展開は、
なかなか見応えがあった。
また、自分も、同世代の息子と、
孫を持つ立場なのでダニーのような立場になると、
つらいだろうなと共感する部分もあった。
本作は、実話に基づくということで、
最後にスティーヴ・ティルストン本人の映像が流れる。
ジョン・レノンの曲が劇中に何曲も流れてくる。
これらも見どころ(聴きどころ)の一つだ。
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